レポート

ゼロダテ美術展2016、舞台裏からのぞいたアート

「アートってよくわからない」
今年の夏、仕事の話をした時に一番よくいわれた言葉かもしれない。

大館市大町商店街で行われたゼロダテ美術展2016で、webや出版物の編集のお仕事をさせていただいた。大館には18年間住んでいたので、「ゼロダテ」という名前は知っていた。高校生の時は全校で掃除ワークショップに参加したし、フラフラ作品をみたこともあったかもしれない。でも、もちろん美大を出たわけでもなく、現代美術に関しては未知の領域。だから、街の人の「ゼロダテって、なにしてるの?」という視線もわかる。

でも、一夏を美術展と過ごして感じたことは、アートは私が考えていたよりずっと自由だということだ。アートをみることは作家や特定の人だけに与えられた特権ではなく、もっと私たちの人生のすぐそばにある。それをより感じさせるのが、街のなかに突如アートが現れるこのプロジェクトの醍醐味のひとつだと思う。ゼロダテ美術展2016の参加作家数は50人以上。住む場所も年齢も背景も異なる作家たちが手がけた作品が、街のあちこちに出現する。普段はシャッターが下りている空き店舗の中に、それはもう絵画から立体、パフォーマンスまでいろいろな作品がある。全作品をよく「わかる」人なんてきっといないんじゃないかと思う。ただ、なんとなく「ひっかかる」かどうか。それは全然知らなかった作家かもしれないし、街のなにげない風景かもしれないし、あるいは全く別の個人的な事情かもしれない。街にこれほど多彩な作品が現れるという奇妙な光景。その中で自分と対話し、どこかで少しでも心を揺らしてもらえればと思う。

美術展の期間は、たくさんの招待作家が大館に集まる。暮れても明けても制作に夢中。作家もスタッフも、心の底から楽しんで美術展をつくっている。だから、来場者にも自由に自分の感覚で楽しんでほしい。
 
ゼロダテ美術展2016ダイジェスト
作品紹介前編
作品紹介後編
オープニング編

ぜひ、次の美術展、ほんものに会いにいってみてください!